入場者数『54090人』
この数字がなにを示しているのか。驚くことなかれ、Jリーグの入場者数ではない。
全国高校サッカー選手権【決勝】の入場者数である。
最近5大会の合計観客数はというと、
90回:22万9043人
91回:21万9556人
92回:27万5512人
93回:29万4477人
94回:31万3824人(2016年の今大会)
2年前からぐんと伸びているのがわかる。一体何が観客増の要因なのか。この要因を探れば、近年観客動員数に伸び悩んでいるJリーグへの観客増につなげることができるかもしれない。
ちなみに、第70回大会(平成3年)は観客動員は42万人の新記録が達成されている。この時は名古屋グランパスなどで活躍した小倉の時代だ。この2年後に日本初のプロサッカーリーグである「Jリーグ開幕」を迎え空前のサッカーフィーバーが起こったことから、高校サッカーの過熱ぶりがプロサッカー熱にも感染していったとも考えられる。
翌年71回大会は三浦淳宏が、72回大会はあの中田英寿が高校サッカーで活躍しJリーグ入りしている。今でこそ、高校からプロになれず(ならず)大学を経由してのJリーグ入りは珍しいことではなくなったが、当時は高校卒業後にプロ入りするのが当たり前の時代だった。
この時代は、高校サッカーを見てお気に入りの選手を見つけ、プロになった彼らの雄姿をJリーグ観戦で楽しむといったサッカーファンが多分にいたのではないか。
ちなみに私も当時小学生のころ、テレビで後に日本代表となる清水商業のGK川口能活を見て応援していたのをうっすらと覚えている。
Jリーグの育成システムの発展とJリーグ新規ファン獲得低迷を関連付けて考えてみた
近年Jリーグに18歳で入団する選手は、各Jリーグチームのクラブユースからが多くなっており高校サッカーで活躍しプロ入りする選手が減っている。これはすでに中学年代のジュニアユース年代から将来の有望選手をユースが囲いこんでいることと関係している。しかし、クラブユースの試合は高校サッカーほど全国区の人気・注目を集めているとは言えない状況であり、各Jリーグチームのコアサポーターのみしかどんな選手がいるのか知らないのではないか。これでは、せっかくの高校年代のスター候補がたくさんいるのにもったいない。
このことは、Jリーグが新規ファン獲得に苦戦している事実と関連していそうである。
高校年代のスター選手が、かつては高校サッカー選手権で全国の注目を集め、そのスター選手を見るためにJリーグを見てみようといったライト層が多数存在しており、Jリーグの新規ファン取り込みを担っていたと考えると、以前のJリーグブームにも納得がいく。
逆に、現在の高校サッカー選手権でのスター不在はJリーグ観客動員数の伸び悩みにも繋がっていると考えることができそうである。
日本サッカーのレベルを上げるために整備したはずのJリーグクラブユースチームだが、Jリーグの新規ファンの取り込みへの悪影響があるのかもしれない。もちろん技術的な面や戦術的な育成は、高校サッカーに比べてユースに分があるのかもしれないが、人気の面ではまだまだ高校サッカーに負けている。
日本サッカーのレベルアップには、やはり日本のプロサッカーリーグであるJリーグの人気が高まり、常にピリピリと熱気のある試合が繰り広げられることが絶対に必要だと思う。そのためにも、高校年代のスター選手が毎年出てきてJリーグ入りし、Jリーグの人気が回復して欲しいと思っている。
まとめ
今後、高校年代のスター選手のマスコミ・雑誌への露出が増えることが、これからのJリーグ新規ファンの集客とJリーグ観客動員数の伸びへと繋がっていくと思う。そのためにも、クラブユースチームには、技術面だけでなくスター性や話題作りも必要であり、高校サッカーと切磋琢磨し日本サッカーを盛り上げていってほしいと想う。観客動員数が低迷しているJリーグの今後の発展に期待したい。
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